十文字掌編小説ぶろぐ

べんべんとした日常に豊かな物語を。短くたって構わない。豊かなものでさえあれば。 不定期の更新です。月3回を目標に。

『ネジがひとつ多いロボット』

ロボット開発を進める博士の元に、一番弟子のショーンが呼吸を乱しながらやってきた。

「博士! ついに完成しました!」

ショーンが完成したというのは、彼がここ数ヶ月一人で研究開発していた人型ロボットであった。

「そうか、ちょっと見せてみなさい」

そのロボットは一見他のものと変わりのない人型ロボットだったため、博士は首を傾げた。

「少し身体は小さいですが、中身は上出来です」

ロボットの頭をショーンが軽く触れると、ロボットが言葉を発しだした。

「コンニチハ、ハカセ。ボクノナマエハショーンデス」

ショーンがロボットに自分の名前をつけるのはいつに変わらず。

今更言葉を話す程度では博士は驚かない。

「こんにちは。ところで君にはどんな機能があるのかな?」

博士の問いに、今度はロボットが首を傾げる。

「ハカセ、オッシャッテイルイミガ、ワカリマセン」

「すみません、博士。こいつ、ちょっとアレなんです」

「なんだ、やっぱりまた欠陥か」

そう博士が肩を落としている中、ショーンはしめしめと微笑んでいる。

「それは誤解です、博士。欠陥とは完璧な状態から見て何かが足りないことを言います。ただまあ、確かに完璧とは言えないんですけどね」

「完璧ではないのか。それでよく完成したと意気込んでいたものだ」

「完成と完璧は違います。こいつはこれで完成なんです。その証拠をご覧に入れますよ」

するとロボットがその表情を変えずに言った。

「ハカセ、サイキン、フトリマシタネ。ゲンインハ、チョコレートノタベスギデスネ」

「な、なぜこいつが私の好物を知っている。もしや、ショーン、お前が教えたのか」

「いいえ、こいつには推理能力があるんです。ホームズみたいな」

「本当なのか。ん……いや、待て。そもそも最近はチョコレートではなくアンコを食べているのだが」

「あ、じゃその口元に付いてるのはアンコでしたか」

「嘘じゃ」

「え……あ、ああ」

「やはり、そうか。お前はこの数ヶ月、腹話術の特訓をしていたのか」

「ハハッ、ばれちゃいましたね。でも、どうです。今までのロボットよりも上出来じゃないですか?」

「まあ見方を変えればな、ロボットの中身が人間。しかし、余計なネジが一本多い。確かに完璧とは言えんな。それに、もはや人形と変わらない」

「あらら、これは手厳しい。そうですね、やっぱり人間もロボットも完璧を求めちゃいけないってことですかね」
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