十文字掌編小説ぶろぐ

べんべんとした日常に豊かな物語を。短くたって構わない。豊かなものでさえあれば。 不定期の更新です。月3回を目標に。

『あまつさえ』

「ごめんなさい」


「え、ちょ、どうしてさ」


「本当にごめんなさい。これ以上は無理なの」


「無理って、別れるってこと」


「そう」


「理由を教えてよ。そうじゃなきゃ納得できない」


「理由を話したところで、あなたは納得しないわ」


「確かに、今の状態じゃ何を言われても納得はしないだろう。だけど理由も無しに袖を分かつのはないだろ」


「本来なら、あなたに何も告げず蒸発するつもりだったの。でもね、その後のことを考えたら、なんだか惨めに思えてきて」


「そんな……」


「それに謝るべきなのはあなたよ。それを自覚してない時点で、一生納得はできないでしょうね」


「ごめん……俺に悪いところがあるなら言ってほしい。……謝るから」


「あのね、謝る時に感情が籠もっていれば、それは感謝に繋がるの。あなたには不可能だろうけど」


「……感……情?」


「あ」


「か……じょ……」


「しまった。これはアンドロイドには禁句だったんだわ。ふられた腹癒せにやるんじゃなかった」
スポンサーサイト