十文字掌編小説ぶろぐ

べんべんとした日常に豊かな物語を。短くたって構わない。豊かなものでさえあれば。 不定期の更新です。月3回を目標に。

『うらがなしい』

「先輩!」


「ん?」


「ちょっと相談したことがあるんですけど?」


「え、どうしたんだ急に?」


「心からのプレゼントってどんなものが良いと思いますか?」


「え……心からのって、た、大切な人にあげるものってこと?」


「ええ、まあそんなところです」


「そうだね、それなら心がこもっていれば、どんなものでも相手は喜ぶんじゃないかな。でもだからといって、相手の喜ぶものでなれば、例え心がこもってたとしても、相手は心から喜べないだろうね」


「そうなんですよ。相手の人は読書が趣味で本をプレゼントしようかと思ったんですけど、相手の趣味に合った本がわからなくて。本好きの先輩なら色々知ってると思って」


「頼ってくれたのはありがたいけどなあ。相手がどんな人かわからないと……」


「それじゃ、誰もが貰って喜ぶような本ってないんですか?」


「え、うーん。なら聞くも涙語るも涙の物語のような本ならどう? 感傷に浸るのも悪くないよ。そういったジャンルの中で良い物語を知ってるからよかったら紹介するよ。俺はそういう話好きだし、そのお相手さんにも勧めたらどうかな」


「そうですね。先輩がそういうなら、それにします。毎回毎回ありがとうございます。先輩は本当に頼りになります。わたし先輩のこと大好きです! それじゃまた」


「あ、……ああ。じゃまた。はあ……しかし、裏には裏がある。そんな気がしてならない。うん」
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