十文字掌編小説ぶろぐ

べんべんとした日常に豊かな物語を。短くたって構わない。豊かなものでさえあれば。 不定期の更新です。月3回を目標に。

『ほりさげれば』

「ねえ、本当にこんな作戦成功するのかな」


「なんだよ今更。もう後には引けないんだよ。俺たちが盗んだ金は、手元にあればいつかは見つかる。すぐに使えば足が付く。だから一旦は隠しておいて、時間が経ったら思う存分使うって最初に決めただろ」


「だってさ、こんなところに穴掘って、ずっと隠し通せるほど甘くないよ」


「そんなこと言ったって、他にどうしようもないだろ。運良く見つからないことを祈るしかねえ。その確立を少しでも上げるためにも、もっと深く掘らなきゃ」




「これぐらいで充分じゃない」


「そうだな、――よし」


「え! 何を、ああ」


「ふっ、これで俺の罪を知るものはいなくなった。許せ」


「……どうして」


「悪いな、初めから盗んだ金は独り占めするつもりだったんだ。今回掘った穴はお前の墓穴だ。墓穴を掘るとは、まさにこのことだな」


「ちょっと待ってよ! それじゃお金を隠す穴はどうするつもりなの?」


「もう別の場所に掘ってあるさ。そもそも、そこまで深い必要はないだろう。そのためにわざわざ人気の無い山奥を選んだのだからな」


「そんな……僕ら学生の頃からの長い付き合いだってのに。今まで仲良くしてきたのも、最初から撫物みたいにするつもりだったのか。――の、呪ってやる。絶対呪ってやるからな!」


「やめておけ。俺はそういったオカルトなものは信じない質なんで。それに昔から人を呪わば穴二つって言うだろ」
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