十文字掌編小説ぶろぐ

べんべんとした日常に豊かな物語を。短くたって構わない。豊かなものでさえあれば。 不定期の更新です。月3回を目標に。

レビュー『愚者のエンドロール』

 今回紹介するのは、米澤穂信著『愚者のエンドロール』です。


高校1年目の夏休みの終盤、古典部の面々は、2年F組の生徒が文化祭の出展に向けて自主制作したというミステリー映画の試写会へと招かれる。しかしその映画は、脚本家の体調不良で話が進まなくなってしまったことで、事件の結末が描かれないまま尻切れトンボで終っていた。

古典部は2年F組の入須冬実から、映画の犯人役を探し当てる「探偵役」を依頼される。映画の結末が気になるえるの一言で、古典部はオブザーバーとして、2年F組から志願した3人の「探偵役」の推理を検証していくことになる。最初は乗り気ではなかった奉太郎だが、入須に自身の資質を認められ本格的に推理に乗り出した。しかし推理の末に奉太郎は、映画の犯人探しに隠された本当の狙いに気付いていく。――Wikipediaより引用



 あらすじをWikipediaから引用しましたが、Wikipediaには結末が書かれているので、未読の方は要注意です。

 さて、私がこの作品を紹介する理由と致しましては、ミステリー要素満載だからです!
 元々この作品は「古典部」シリーズの第二作目として出版されております。折木奉太郎が主人公であり物語の探偵役。それは前作の『氷菓』によって多くの読者が認知していました。それを囲むのが個性豊かな古典部員。福部里志、千反田える、伊原摩耶花の三人。このメンバーで様々な謎に立ち向かっていました。
 この作品では、奉太郎はオブザバーとして先輩の探偵役志願者の話を聞いていく展開ですが、この部分がアントニイ・バークリー著毒入りチョコレート事件【新版】 (創元推理文庫)という作品をモチーフされております。ひとつの事件に関して、複数の探偵が推論を出し合い、事件を解決していくという筋立てです。
 また他にも、サブタイトルにある“Why did't she ask EBA?”(なぜ江波に頼まなかったのか?)は、アガサクリスティー著なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか? (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)のモチーフになっております。
 さらに言えばホームズなどもキーアイテムになっておりますし、探せばもっとミステリー要素を取り込んだ作品となっているのでしょう。
 ここまで様々な名前や作品のタイトルを出しといて言うのも恐縮なのですが、オススメしたいのはミステリーが苦手あるいは初心者の方です。とにかく読みやすいこと、一作品でミステリーを十分楽しめること、そして読書を好きになる。私がそうなったというのと同じで。
 未読の方には申し訳ありませんが、ここでひとつ物語の中にある台詞で私が好きな言葉を書かせていただきます。

「別にいいじゃない。鍵くらい」

 この言葉、創作している私自身も衝撃を受けました。鍵なんてどうでもいい。そういうことなんです。これは物語を読めばわかりますが、肝に銘じておきます。

 この作品の前作『氷菓』は、すでにアニメ化、漫画化されております。そして映画化もされるようですね。できれば個人的には、この『愚者のエンドロール』の物語を扱ってほしい気持ちもありますが、どうなるにせよ楽しみではあります。
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