十文字掌編小説ぶろぐ

べんべんとした日常に豊かな物語を。短くたって構わない。豊かなものでさえあれば。 不定期の更新です。月3回を目標に。

レビュー『アンドロイドは電気羊の夢をみるか?』

 今回紹介する小説は、フィリップ・K・ディック著『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』です。




 アンドロイドと聞くと、携帯型端末スマートフォンを思い浮かべる人が多いでしょう。しかし本来は、人間型ロボットという意味なのです。
 この物語のテーマとして、「アンドロイドと人間の違いは何か」というのがあります。現代において科学技術の発展は目を見張るものがありますが、まるでそれを予知していたかのような物語をこの本は示しているのです。(1969年刊行)

 物語は人間でアンドロイドを破壊するハンターのリックと、人間そっくりなアンドロイドのイジドアの二つの視点で進みます。舞台は核戦争後の地球。火星に多くの人間が移り住み、地球には動植物のほとんどが存在しない世界。そこで人間はアンドロイドを作り、それを奴隷ように従わせ火星で暮らしていました。しかし、アンドロイドたちは自由を求め地球に逃げていくのでした。
 また、この世界では本物そっくりの電気動物が多く存在しており、本物の動物は希少でとても高値で取引されていました。そこで主人公のリックは唯一持っていた電気羊ではなく本物の羊欲しさに、ハンターそしてアンドロイドの破壊という仕事を始めるのです。
 ハンターが人とアンドロイドを見分ける方法として、「感情移入度検査」を行っていました。これはある質問をして、その回答が人間的であるかどうかを判断するものです。要は何かに対して“共感”できるかできないかで、人間かアンドロイドかを判断するものでした。
 ハンターのリックはアンドロイドを探す中、人間味のあるアンドロイドや自分を人間だと信じているアンドロイドに出会います。そこで悩むのです。アンドロイドに共感してしまうと、破壊することができなくなってしまうこと。また、人間そっくりなアンドロイドを躊躇無く破壊している自分もアンドロイドではないかと
 
 このリックの悩みは最終的に読者へと向けられます。それはアンドロイドであるイジドアの視点で、人間から逃れる生活を描いているからです。
 人間とアンドロイドの違いは何なのか。その回答は科学技術の発展とともに難しくなっていきます。いずれ、アンドロイドが人間のように電気羊が欲しいと悩みだす日が来るかもしれません。そんな時、どうのようにして人間とアンドロイドを区別するのか。この物語を読んで、ぜひ一度考えてみてはいかがでしょうか。
 
 これは、現在を知り未来を語る物語。いつかアンドロイドも夢を見る日が来るかもしれない。その時のために。

 この小説は、タイトル『ブレード・ランナー』として1982年に映画化されています。さらにその続編も2017年に公開する予定となっております。
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