十文字掌編小説ぶろぐ

べんべんとした日常に豊かな物語を。短くたって構わない。豊かなものでさえあれば。 不定期の更新です。月3回を目標に。

『140字小説”Ⅱ”』

さて、今回もTwitterで過去に投稿した140字小説をまとめて載せておきます。
余談ですが、小説の長さをよく大河小説や長編小説などと表現しますね。私はこのブログで短編よりも短い小説を掌編小説と表現していますが、それよりも短い140字小説は掌よりも小さい親指小説なんて表現してみようかなとちょっと考えています。

【首輪】
彼女へのプレゼントは何にしようか。この時季は毎年悩む。
人気者の彼女。彼女が他の男に取られないためには、プレゼントは重要だ。よし、ネックレスにしよう。彼女がずっと欲しがっていたのもの。少し高いけど奮発する。これで彼女は僕のもの。もう、僕は彼女に首ったけ。


【約束】
人と人との間には一本の線が存在する。その線は両手の小指から伸びいるのだが、その線は脆く、とても短い。直接絡ませ、きれいに結ばなければすぐに切れてしまう。
ただ、ある条件を満たすとその線は切っても切れないものとなる。それは同じ志を持った男女で結ぶこと。僕と君のことさ。

【信頼】
信頼という言葉を口に出して言ってごらん。ほら、シャボン玉みたいにだろ。一度にたくさん出ても、すぐに壊れてしまうんだ。でもそこに、砂糖を加えるだけで割れにくくなる。
だからほら、もっと甘えてごらん。そうすれば、僕は必ず君との約束を守るから。

【緊張】
汗は体中のどこからだって出るんだ。脇や掌、たまに瞳からだって。
その汗ってしょっぱいだろ。だからといって水と塩を補えばいいってわけじゃない。大切なのは、出さないようにすること。こうやって僕がずっと傍にいれば、緊張で震えることもないし、絶対に泣かせやしないから。


【屋上】
傾斜ある鍵盤の上を歩いて行く。その一歩一歩で奏でられる音は、鐘の音よりも美しい。
鍵盤の先にある扉を開くと、奏でた音色が景色となって広がる。
罪悪感はない。広がった景色を独り占めしている。この場所で、お腹の中の空気をいっきに吐き出す。
俺は自由だ、と。


【体育館裏】
影の中の灯りが一番美しい。
灯りの傍の影もまた美しい。
今日もまた、一点の灯りがともる。それはまだ淡い蝋燭の灯りのよう。
しかし時にすきま風が吹く。その風は無残にも灯りを消してしまう。
灯りの消えた影の中は、とても静かで音がよく響く。特に青春の叫び声が。
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