十文字掌編小説ぶろぐ

べんべんとした日常に豊かな物語を。短くたって構わない。豊かなものでさえあれば。 不定期の更新です。月3回を目標に。

『うちの子に限って』

うちの子に限って。

うちの子に限って、誰かをあやめることなんてしない。

しかし、遊びから帰ってきたユミの口元や手足は真っ赤に染まっていた。

血だった。

「どうしたの……それ?」

私の問いに、ユミは不気味に微笑むだけで何も答えない。

ユミはまだ三歳だ。それに近くの公園で遊んでいただけのはず。一人で遊びに行かせた私が悪いのかもしれない。それでも、まさかうちの子が。

しかしもうどんなに嘆いても、責任を問われるのは親である私。後悔しても遅い。
ただ、未だに目の前に現実を受け入れられない。それだけ愛情を持って育ててきたのだ。

私はユミの口元や手足を拭いてあげた。拭いたぐらいで現実が消えて無くなるわけではないけれど、彼女をそのままにしておくわけにもいかない。そして尚且つ、あやめたものを確かめなければいけなかった。

現実逃避をすれば同罪。いやそれ以上の罪になるのだろうか。

私は玄関を開けて、外を見た。

そしてそこにあった血だらけになった肉塊を、私は新聞紙で包んだ。
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