十文字掌編小説ぶろぐ

べんべんとした日常に豊かな物語を。短くたって構わない。豊かなものでさえあれば。 不定期の更新です。月3回を目標に。

『140字小説“Ⅰ”』

ブログの更新が多少疎かになってしまい申し訳ございません。そこで何かひとつ対策を練ったところ、掌編小説よりも短い、140字小説を書こうかと考えました。
140字小説とは、現在Twitterでの文字数140字の中で物語を作るという新たな形。現代であるが故に生まれた形式かと。初めTwitterはブログの宣伝用に活用していたのですが、140字小説を知り140字大賞や創作サークル綾月に参加することによって、140字小説を書く機会がありました。
そこで、今回ブログに140字小説を何作か記載しようを思います。Twitterでも一度紹介している作品もありますが、どうかご了承ください。

【喩え】
「喩えるなら雨は涙。風は寂しさ。雷は怒り。そして晴天は笑み」
すると、雄弁に語る彼が訊いてきた。
「それじゃ幸せは何だと思う?」
少し考えて私は答える。
「虹、かな」
「違う。答えは雪だ。雪が降るとわくわくする。積もればドキドキする。そして溶けていくとそわそわするだろ。それが幸せだ」

【誘拐】
今回の依頼は誘拐。しかし誘拐は犯罪だ。被害者とその親族が誘拐されているということを知らずに誘拐する。
そうすれば犯罪にはならないし、誰も傷つかない。
だから今回ターゲットにはある種を撒く。海外旅行というプレゼントを。
私はコンダクターとして彼女を誘拐する。身代金は当日持ってきて貰おう。

【呟き】
「つまらない」
どうしたのと聞くと、彼は背中を丸めてつまらないと呟く。何を聞いてもつまらないと呟くので、私は彼に背後から「だ~れだ」と目隠しをすると、彼は急に背筋を伸ばし言った。
「おお、君は魔術師か。僕の視界を奪うなんて。ならば君を冒険の仲間にしよう」
そして私たちの物語が始まる。

【爪垢】
赤く塗られれば妖艶に。花を添えれば麗しく。絵を描けば優雅になる。
しかし、彼女は透き通るよう。飾ることなくありのままであった。
嗚呼、どうしたら彼女を自分のものにできるであろう。
せめてもの願い。彼女の爪の垢を煎じて飲みたい。

【口づけ】
口を失った。これでは声が出せない。だけど手話を覚えて筆談で補った。
口を失った。これでは食事ができない。だけど点滴で栄養を補給しなんとか補った。
口を失った。これではキスができない。これだけはどうやっても補えない。だれかわたしに口づけを。


そして、最後に掌編『蜚蠊が嫌いな彼』を140字小説で表現してみた作品です。
【蜚蠊】
彼は虫が大好きだった。語り出すと止まらないほど。それ以外については全てが彼氏として完璧な彼なのだが、ある日事件は起きた。
私達が住む部屋にゴキブリが出た。私は「早く殺して」と叫ぶと彼は言った。「ごめん。やっぱり虫は殺せないよ」と。
私は彼の頭を思いっきり叩いてやった。
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