十文字掌編小説ぶろぐ

べんべんとした日常に豊かな物語を。短くたって構わない。豊かなものでさえあれば。 不定期の更新です。月3回を目標に。

2016年08月の記事

『まとめ記事⑦』

 2016年4月から8月までのまとめ記事です。
 今回で7回目。もう少しでブログ開設よりまる3年が経ちます。更新は頻繁ではございませんが、こうして続けてこられてなによりですね。
 3周年の時には、また何かしらの個人的な記事を書こうかと考えております。どうぞよろしくお願いします。

◆オマージュ
『雨雲と満月』……朧気な月はまた美しく見える。
http://kairotto.blog.fc2.com/blog-entry-131.html

◆フェーブル
『ウワバミロボット』……大蛇は三度昇華する。
http://kairotto.blog.fc2.com/blog-entry-119.html
『暗がりから牛を引き出すには』……未だに尾を引いているのです。
http://kairotto.blog.fc2.com/blog-entry-128.html
◆ミスリード
『ペンディング探偵の生き甲斐』……保留、甘美な響き。
http://kairotto.blog.fc2.com/blog-entry-122.html
『ペンディング探偵の定め』……保留、傲慢な怠惰。
http://kairotto.blog.fc2.com/blog-entry-129.html

◆リトルホラー
『薔薇を傾ける彼』……観覧車はより大きい方がいい。
http://kairotto.blog.fc2.com/blog-entry-116.html
『洗濯する彼』……気のせいは厭なフラグ。
http://kairotto.blog.fc2.com/blog-entry-125.html
『のっぺらぼうず』……のっぺらな校長。
http://kairotto.blog.fc2.com/blog-entry-130.html

◆レトリック
『お涙頂戴お化け』……迷子の子猫さん、あなたのお家はどこですか?
http://kairotto.blog.fc2.com/blog-entry-121.html

◆エスプリ
『むくいる』……殺しちゃだめ。
http://kairotto.blog.fc2.com/blog-entry-133.html

◆140Novel
『140字小説“Ⅲ”』
http://kairotto.blog.fc2.com/blog-entry-132.html

今回は以上です。
こちらは過去のまとめ記事です。
『まとめ記事①』2014年3月20日
『まとめ記事②』2014年7月1日
『まとめ記事③』2014年9月29日
『まとめ記事④』2015年3月3日
『まとめ記事⑤』2015年8月25日
『まとめ記事⑥』2016年3月30日

 さて、カテゴリオネストですが、この度完結を致しまして別の投稿サイトにてまとめた形で掲載しております。
 以下にリンクを張っておきます。ぜひ改めてお読みいただけると幸いです。

横書き掲載サイトカクヨム少女アルカナ
縦書き掲載サイトノベラボ少女アルカナ
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『むくいる』

「先輩、実はわたし、好きな人ができちゃったんです」

「へえ、そうなんだ。あれ、もしかしてその人物は先輩でしたってオチ?」

「何言ってるんですか。勘違いも甚だしいですよ」

「辛辣だなあ。良いじゃないか少しぐらい期待しても」

「ダメです。先輩には素敵な奥さんがいるじゃないですか」

「そうだった。ごめんごめん」

「そうですよ。それで、誰だと思います?」

「えー誰だろう? もしかして、おれの親友の慎一とか?」

「ぶー、違いまーす。ヒントは、意外な人です」

「意外な人? まさか弟の圭介じゃないだろ」

「残念、はずれです。正解は、元カレです」

「え、どうしてさ。あんなに酷いことされてたのに」

「なんか、どうでも良くなっちゃったんです」

「ダメだよ、そんなんじゃ。相手はしっかり選ばないと」

「良いじゃないですか、好きになるぐらい。別に告白するわけでもないのに」

「そうだけど、なんか裏がありそうだね」

「あ、やっぱりばれちゃいましたか。復讐ですよ。あいつ今、楽しそうにかわいくない女とイチャイチャしてるんで」

「ああ、なるほど。でも復讐は良くないよ」

「それじゃ言葉を変えて、お礼参りに行ってきます」

「ヤクザみたいなこと言わないでよ」

「違います。わたしあいつに殺されましたけど、感謝してるんです。先輩とこうしていつでも話せるんですから」

「なら、その役目はおれだろ」

「いいえ、先輩じゃあいつを殺しちゃうでしょ。わたしはあいつに取り憑いて、苦しめてやるんですから」

『140字小説“Ⅲ”』

 今回も過去にTwitterにて、投稿しました140字小説こと親指小説を載せていきます。
 掌編小説を書くことがメインの当ブログですが、この親指小説はその短さゆえ叙情詩的な表現になりがちな面があります。日本には短歌や俳句といった文章表現が古来から存在していますので、それらとは一線を引いて区別していきたいとは個人的に思っています。
 詩を書くなら詩として、小説なら小説をというこだわりははっきりと持っていきたい。ただ、その線引きが曖昧なのはひとつの課題でもあるのかもしれません。私自身が個人的にその違いを定義するなら、詩には感情を、小説には物語を。それらの色を強く表現して書いていければ、それぞれの魅力が出せるのだと思います。
 これはあくまでも個人的な意見です。そうできるように精進していきたいという願望を込めて。


【挨拶】
駅のホームの先に彼女はいた。何年ぶりだろう。彼女はまだ僕に気づいていない。
何て声をかけよう。「おはよう」いや「久しぶり」か。
僕を覚えているだろうか。足取りは重かった。
しかし歩み寄る僕よりも早く、特急電車が僕を追い越した。
ごめんやっぱり「さよなら」だ。

【溺愛】
私は世界で一番美しい?
そうね、付け睫毛をつけたらどうかしら。
こう?
後、ファンデも塗った方が良いわね。
これで大丈夫?
いいえ、もっと笑いなさい。笑顔が大切よ。
ふふっ。そうね、なんだか楽しくなってきたわ。
そう。貴方は私。鏡の中では世界で一番美しいんだから。

【小学】
「おっきくなったら結婚しよ」って君がクラスの女子全員に同じこと言ってたから
「あんたみたいな男は結婚なんてできないよ」って教えてあげたら
君は涙を浮かべて黙っちゃうから仕方なく
「あたしならいいよ」って言ってあげると
君は「うそだし」って捨て台詞
かわいくないな

【中学】
女子みたいな声だった君が
「太ったね」って躊躇いもなく言うから
悔しくなって「うるさい」って言い返そうとしたらなぜか涙が出てきて
私は隠したつもりだったんだけど
それを見た君が急に慌てちゃって
「ごめん」って大人みたい声で謝るから
さっきから胸が苦しいんだからな

【高校】
自転車を押す君が「持つよ」って言うので
「ありがとう」って鞄を渡そうとしたら
「違うよ」って私の体を抱えて荷台に乗せるから
「違反だぞ」って言ってやると
「軽い軽い」って笑うから
てっきり違反のことかと思ったら
「お前のことだよ」って
お互いおっきくなったなって

『雨雲と満月』

 今回はイソップ寓話『北風と太陽』のオマージュです。


 太陽が沈んだとある夜空に、それはそれは大きな雨雲がやってきました。
 雨雲は今まさにその身体に溜めた雨水を降らせようとしています。そこに上から見ていた満月が声をかけました。

「ちょっといいですか、雨雲さん」

「なんだ満月。俺は忙しいんだ」

「貴方は雨を降らし、人間を濡らすけれど、それは良いことなのですか?」

「良いこと? そりゃ俺の雨がなけりゃ、人は生きていけないだろ」

「でも、貴方の雨は人を殺しはしませんか?」

「まあ、確かにな。土を削り川を氾濫させることもある。だが、それ以上に人間を救ってもいる。人間は水がなきゃ生きていけないからな。ただ、それが良いことなのかは、俺に判断はできねえな。それよりもお主は、人間に対して何かもたらしているのか?」

「わたしですか。そうですね、特に何も」

 そう語る満月は、すました顔で堂々としています。その態度に疑問を抱いた雨雲は、問い質しました。

「お主は人間に対して何もしていない。ならなぜ存在している」

「それは難しい質問ですね。それならちょっとゲームしませんか?」

「ゲームだと?」

「ええ、あそこにいる人間にしましょう。あの人間をこちらに振り向かせたほうが勝ちというゲームです」

「振り向かすだと?」

「はい。方法はどんなものでも構いません。人間がこちらを見れば。貴方からどうぞ、雨雲さん」

 その言葉に雨雲はふんと鼻を鳴らし、簡単だと言わんばかりに身体に溜まった雨粒を人間目がけて降らしました。しかしその人間は空を見ることなく傘を差してしまいました。

「残念ですね。では次はわたしの番ですので、雨を止めてもらえますか?」

 雨雲は仕方なく雨を止めると、人間の上から移動します。すると輝かしい満月の月明かりが、人間目がけて降り注ぎました。
 人間は傘を閉じて空を仰ぎます。そしてなぜかその瞳を潤わせ、ついには涙を流したのです。

 それに驚いた雨雲は言います。

「ど、どうしてあの人間はお主を見ただけで涙を流したんだ?」

 すると満月は自慢げに答えます。

「さあ、それはわかりません。ですが、あの人間はいつもわたしを見ては涙を流すのです」

「満月を見てはいけないと言われているのは女だろう。あの人間は男だ。満月を見て狼に変身するわけでもないのに、なぜだ」

「涙脆いのかもしれません。でもよく見てください。あの人間、女性のようにも見えませんか」

「ん? そうか? 俺には男に見えるが」

 それから雨雲と満月は、涙を流す人間をしばらく観察します。しかし、一度疑いを持ってしまってからはもう、その人間の姿は朧気にしか見えなくなってしまいました。
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