十文字掌編小説ぶろぐ

べんべんとした日常に豊かな物語を。短くたって構わない。豊かなものでさえあれば。 不定期の更新です。月3回を目標に。

2015年11月の記事

『140字小説“Ⅰ”』

ブログの更新が多少疎かになってしまい申し訳ございません。そこで何かひとつ対策を練ったところ、掌編小説よりも短い、140字小説を書こうかと考えました。
140字小説とは、現在Twitterでの文字数140字の中で物語を作るという新たな形。現代であるが故に生まれた形式かと。初めTwitterはブログの宣伝用に活用していたのですが、140字小説を知り140字大賞や創作サークル綾月に参加することによって、140字小説を書く機会がありました。
そこで、今回ブログに140字小説を何作か記載しようを思います。Twitterでも一度紹介している作品もありますが、どうかご了承ください。

【喩え】
「喩えるなら雨は涙。風は寂しさ。雷は怒り。そして晴天は笑み」
すると、雄弁に語る彼が訊いてきた。
「それじゃ幸せは何だと思う?」
少し考えて私は答える。
「虹、かな」
「違う。答えは雪だ。雪が降るとわくわくする。積もればドキドキする。そして溶けていくとそわそわするだろ。それが幸せだ」

【誘拐】
今回の依頼は誘拐。しかし誘拐は犯罪だ。被害者とその親族が誘拐されているということを知らずに誘拐する。
そうすれば犯罪にはならないし、誰も傷つかない。
だから今回ターゲットにはある種を撒く。海外旅行というプレゼントを。
私はコンダクターとして彼女を誘拐する。身代金は当日持ってきて貰おう。

【呟き】
「つまらない」
どうしたのと聞くと、彼は背中を丸めてつまらないと呟く。何を聞いてもつまらないと呟くので、私は彼に背後から「だ~れだ」と目隠しをすると、彼は急に背筋を伸ばし言った。
「おお、君は魔術師か。僕の視界を奪うなんて。ならば君を冒険の仲間にしよう」
そして私たちの物語が始まる。

【爪垢】
赤く塗られれば妖艶に。花を添えれば麗しく。絵を描けば優雅になる。
しかし、彼女は透き通るよう。飾ることなくありのままであった。
嗚呼、どうしたら彼女を自分のものにできるであろう。
せめてもの願い。彼女の爪の垢を煎じて飲みたい。

【口づけ】
口を失った。これでは声が出せない。だけど手話を覚えて筆談で補った。
口を失った。これでは食事ができない。だけど点滴で栄養を補給しなんとか補った。
口を失った。これではキスができない。これだけはどうやっても補えない。だれかわたしに口づけを。


そして、最後に掌編『蜚蠊が嫌いな彼』を140字小説で表現してみた作品です。
【蜚蠊】
彼は虫が大好きだった。語り出すと止まらないほど。それ以外については全てが彼氏として完璧な彼なのだが、ある日事件は起きた。
私達が住む部屋にゴキブリが出た。私は「早く殺して」と叫ぶと彼は言った。「ごめん。やっぱり虫は殺せないよ」と。
私は彼の頭を思いっきり叩いてやった。
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『おしらせ&名作』

どうも十文字兄人です。
いきなりですが、実はこの記事でなんと100記事目なんです。さらに丁度今月でブログ開設2年が経ちます。
この記念すべき記事で何を書こうかと考えた結果、この2年間での私自身のことも語りつつあるお知らせと、ある名作について少し語ろうかと思い至りました。

まずはお知らせです。
私十文字は、当ブログにて掌編小説のみの作品を記載してきました。だからといって短編や長編の作品を書いていなかった訳ではないのです。特に長編は新人賞用に書くのがメインで、ウェブ上では落選作品を載せるといったこともしてきませんでした。
しかし、今回私自身初めて長編小説をウェブ上に書き下ろそうかと考えております。
現在ブログの作品をtaskeyというサイトにてまとめて公開しているのですが、こちらにて書き下ろそうかと思います。プロットは既に完成しており、後は文章を綴っていくだけ。連載という形になるとは思いますが、少しでも興味のある方は覗いていただけると幸いです。
公開・更新情報に関してはTwitterにてお知らせ致します。
ただ、ブログの更新は少し滞っていますかもしれないので、その辺りご了承ください。


続きまして、名作について。
昨年、小説や漫画など私が影響を受けた作品の一部を紹介しました。→プレゼン
今回も似たような感じではありますが、1作だけ、しかもとあるテレビゲームの作品です。

『NieR RepliCant 』

私自身、よくテレビゲームを嗜む人間ですが、特にRPGのカテゴリはそのストーリー性に注目してしまい、よく言われる操作性やバグなどの違和感は頭にないことがほとんどです。
中でもこの『ニーアレプカント』はPS3版で発売され、私が学生時代にこよなく愛したゲームでもあります。

東京と言われる世界、誰一人いない廃墟に2人の親子(兄妹)がいた。娘(妹)が病気で動けない中、父(兄)は次々と来る異様な怪物から娘(妹)を守る。しかし、苦労の末原因不明の病気により娘(妹)は力尽きてしまい、父(兄)は絶望する。それから、1312年(1412年)の時が流れる。奇病の蔓延やマモノの脅威に脅かされる滅び行く世界。小さな村に母親のいない親子(身寄りの無い兄妹)がいた。日銭を稼ぎ、なんとかその日を過ごしていく厳しい生活ながらも、気にかけてくれる村人の助けもあってつつましく暮らしていた。しかし、もともと病弱だった娘(妹)のヨナが「黒文病」にかかった日からお互いを思いやる親子(兄妹)には辛すぎる日々が訪れる。発症すれば例外なく死に至ると言われる病にかかりつつも、父(兄)は娘(妹)に少しでも楽をさせようと仕事にはげみ、娘(妹)は自身を省みず頑張る父(兄)を心配する。不治の病を治す術は見つからず、死を待つしかないと思われていた時にとある出来事で出会った人語を話す書物、「白の書」の存在が「黒文病」を治す方法の鍵かもしれない事を知る。父(兄)ニーアは娘(妹)を救うため、白の書と共に失われた言葉を探す旅に出る。(Wikipediaより引用)

物語の概要は上記のようになっております。
このゲームの魅力は、なんといっても音楽と1週目クリア後のストーリーとエンディングです。
音楽はYouTuberにも多くアップされているので是非聞いてみてください。トレーラーも貼っておきます。



さて、ここからは少しネタバレも含みますのでご了承ください。
1週目は他のRPGゲームの基本的な構造、つまり王道な展開とほとんど変わらない内容で、ありますが、2週目からは少し毛色が変わってきます。
2週目は1週目の続きから始まり、出てくる敵の強さが上がっていたりすることはよくあるのですが、他と違うのは1週目では聞こえなかった敵キャラの声が聞こえてくるということです。それはどういった理由なのかは話せませんが、それによりただ単純に敵を倒しリアに向けて進んでいくには、とても心苦しいという感情をプレイヤーに与えてきます。1週目では正義感を持っていたのに、2週目では罪悪感を持ってプレイするといったかんじでしょうか。
そして、このゲームには、エンディングが4つあります。(噂ではもう一つあるらしいですが)AからDまであり、そのDエンディングでは本当に意味でのゲームクリアということができます。
正直ハッピーエンドを好む方たちにはあまりお薦めしないゲームかもしれません。ですが、心揺さぶる物語を好む方にはお薦めしたいゲームです。私はこのゲームであって、改めて物語の素晴らしさを味わえました。

実はこのゲームの最新作が今後発売されるらしいのです。最新作トレーラーを貼っておきます。




皆さんも是非、機会がありました体験してみてください。

『正義とアルカナ』

ある日、古くからの付き合いのある女祭司の計らいで、アルカナとおばあちゃんは女王様の住むお城へと招かれた。

お城では小規模の会食が催されていた。

小規模といっても、著名な人物や名だたる富豪など出席している。その人々は皆、きらびやかな星を纏っているかのように眩しかった。

見たことのない料理や飾り、ファンタジーの世界に紛れ込んだ気分になったアルカナは、いったいどう振る舞えば良いのかわからなくなっていた。

すると、一緒に同行してきた女祭司が言った。

「大丈夫よ。普段通りにしていれば」

その言葉に頷きはするが、背筋を緩めることを許してはくれない雰囲気が、アルカナをいっそうのこと困惑させた。

どうやらアルカナの噂は、会食に出席した人のほとんどが知っているようだった。以前、女王様の依頼を解決したからかもしれない。今回の招待もそれに由縁しているのだろう。それにアルカナは女王様から頂いた月桂冠のお礼も直接したかった。

しかし、いくら会場を見渡しても、女王様の姿が見当たらない。

お城での会食は王国の主催だが、毎月行っている恒例の行事でもあるため、必ずしも女王様が出席するとは限らないらしい。

アルカナがキョロキョロと会場内を見回していると、気品漂う女性が音も無く目の前に現れた。

「ごきげんよう、お嬢さん」

「こ、こんばんは」

鼻の奥を差すような香りがアルカナを襲ったが、なるべく表情に出さないように努めた。

「お嬢さんはお一人?」

ちょうど、一緒に来たおばあちゃんは、女祭司に連れられて遠くのテーブルにいた。

「ええ、そうよ」

大人の雰囲気に当てられたのか、少し嘘をついた。

「そう。それなら少し私のゲームに付き合ってもらえるかしら」

「ゲーム?」

「ええ。あなたはどちらが正しいかを答えるだけよ」

「それなら、構わないけど」

「そう。ありがと」

それから女性は、語りなれた口調で続けた。

「とある王国と、その王国と隣接する王国が合併することになった。そこでどちらかの王がその地位を退かなくてはならなくなった。ひとつの王国は王様が。もう一つの王国は女王様が支配していた。
王様は貧困で苦しむ国民に救済をしている。一転、女王様は罪を犯す犯罪者を取り締まっている。どちらの王も、それに関しては完璧な活動と言える。
さて、この二人の王。どちらが新しい国の王に相応しいのか。ただし、どちらも相応しいというのは、答えとして幼稚」

その問いに、アルカナは言い淀むことなく答えた。

「答えは、後者ね。つまり女王様」

その返答に、女性は不器用に微笑んだ。どうやら、アルカナの答えは彼女の想像を超えていたようだった。

「やっぱりおもしろい子ね。それじゃその理由を聞こうかしら」

「簡単なことよ。貧困で苦しむ人は、罪を犯す人によって生まれてしまう。窃盗とかね。だから、罪を犯す人を取り締まれば、自ずと貧困で苦しむ人も減るわ」

すると今度は綺麗な微笑みを女性は見せた。

「なるほどね。でもそれは間違ってはいないけれど、正解ではないわ」

いったいどういうことなのか。アルカナが首を傾げると、突然女性の顔が近づいてきて、耳元で囁かれた。

「正解は女王様だけど、その理由は違う。……ただ、美しいからよ。美しいものを人は崇め讃えるものよ」

そう言い残し、女性は賑わう人混みの中に姿を消した。

アルカナは思わず顔を歪めた。彼女の香水のせいもあったが、それ以上にゲーム負けた気がして悔しかった。

もう一度会って、その悔しさを晴らしたいと思い、アルカナは瞑想する。

しかし、いくら捜しても先程の女性が見つからない。

幻影やまやかしではないはず。確かにそこにいたのに。

アルカナが自宅に戻り、暖炉の上に置かれた写真立ての中に先程の女性に似た人物を見つけた。そして、思わず声が漏れた。

「美しいは正義……ね」
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